2026.06.04

GT3 Cupのステアリングには
何個ボタンがあるのか?

Porsche 911 GT3 Cup Type992 ステアリング

Porsche Carrera Cup Japanで使用される Porsche 911 GT3 Cup Type992。

前回はGT3 Cupのコックピットについてご紹介しました。

今回はその中でも、 ひときわ目を引くパーツ。

ステアリングについてご紹介します。

写真を見てまず思うのは、 「ボタン多すぎませんか?」 ということではないでしょうか。

一般車のステアリングにも、 オーディオ操作やクルーズコントロールなどのボタンはあります。

しかしGT3 Cupのステアリングは、 その意味がまったく違います。

このステアリングは、 ただ曲がるためのものではありません。

レース中にマシンを操作し、 状態を管理し、 戦うためのコントロールセンターです。

見えているだけでも約12個のボタン

写真を見る限り、 左右に分かれて多くのボタンが配置されています。

見えている範囲だけでも、 およそ12個ほどのボタンが確認できます。

さらにステアリング裏には、 シフト操作を行うパドルもあります。

つまりドライバーは、 ステアリングから手を離さずに、 走行中の多くの操作を行うことができます。

これはレースでは非常に重要です。

時速200kmを超える速度域で、 手を離してスイッチを探す余裕はありません。

視線を外す時間も、 できる限り減らさなければなりません。

だからこそ、 必要な機能はすべて手元に集約されています。

ボタンにはそれぞれ役割がある

ステアリング上のボタンは、 ただたくさん付いているわけではありません。

ピットロード用の速度制限。

無線。

ディスプレイ表示の切り替え。

ワイパー。

ライト。

車両状態の確認。

トラブル時の操作。

レース中に必要となるさまざまな機能が、 ここに集約されています。

ひとつひとつのボタンには意味があり、 ドライバーはその位置と役割を身体で覚えていきます。

走行中に 「どのボタンだったかな」 と考えている時間はありません。

反射的に押せること。

それもレーシングドライバーに求められる技術のひとつです。

パドルシフトもステアリングに集約

GT3 Cupには、 一般的なシフトレバーはありません。

変速はステアリング裏のパドルで行います。

右手側でシフトアップ。

左手側でシフトダウン。

コーナー進入でブレーキングしながら、 一気にシフトダウン。

立ち上がりでは、 アクセルを踏みながらシフトアップ。

そのすべてを、 ステアリングから手を離さずに行います。

一般車のパドルシフトとは、 スピード感も緊張感もまったく別物です。

なぜこんなにボタンが必要なのか

理由はシンプルです。

レース中のドライバーは、 ただ運転しているだけではないからです。

マシンの状態を確認し、 タイヤを管理し、 無線でチームと会話し、 状況によって設定を変更しながら走っています。

目の前のコーナーを攻略しながら、 同時に後方の車両を意識し、 前の車との距離を計算し、 ラップタイムも把握する。

その中で必要な操作を、 瞬時に行わなければなりません。

レース中のステアリングは、 ハンドルであり、 スイッチパネルであり、 情報端末でもあります。

市販車とはまったく違う考え方

市販車のステアリングは、 快適に運転するためのものです。

GT3 Cupのステアリングは、 速く走り、 安全に戦い、 確実に操作するためのものです。

丸い形をしていないのも、 ボタンが多いのも、 すべて理由があります。

乗り降りのしやすさ。

操作のしやすさ。

視界の確保。

軽量化。

そしてレース中の確実な操作。

すべてが機能から逆算されています。

まるでレーシングカーの司令塔

写真の中央にはポルシェクレスト。

その周囲にはカーボンの質感と、 左右に並ぶカラフルなボタン。

まるで戦闘機の操縦桿のような雰囲気です。

しかしこれは飾りではありません。

すべてが実戦で使われる機能です。

GT3 Cupのステアリングは、 ドライバーとマシンを繋ぐ最も重要な接点のひとつ。

ここを通じて、 ドライバーはマシンに指示を出し、 マシンから情報を受け取ります。

曲がる。

変速する。

確認する。

伝える。

調整する。

そのすべてが、 この小さなステアリングの中に詰め込まれています。

GT3 Cupの世界は、 見れば見るほど奥が深いです。

外から見るとただ速いポルシェ。

しかし中を覗くと、 そこにはレースで戦うための機能美が詰まっています。

THE LOT.では今後も、 Porsche Carrera Cup Japan参戦を通じて、 普段なかなか見ることのできないレースの裏側や、 GT3 Cupの魅力をお届けしてまいります。

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